
「うちの子は栄養が足りているのかな…」「今のドッグフードのままでいいのか不安」
あなたもこんなふうに心配になったことはありませんか?本当はしっかり栄養素やカロリーも管理してあげたいけど、なんだか難しそうなイメージってありますよね。
そんなあなたに向けて、今回は犬に必要な栄養素やそれぞれの必要量を紹介したいと思います。
栄養が足りているかどうかをチェックする方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
犬の長生きに必要な6つの栄養素

まずは犬に必要な栄養素を見ていきましょう。実は、犬もヒトと同じ哺乳類なので、必要とする栄養素はヒトとほとんど変わりません。
というわけで、今回は“6大栄養素”と呼ばれるものを中心に紹介していきたいと思います。
- 炭水化物
- タンパク質
- 脂質(脂肪)
- ビタミン
- ミネラル
- 水
私たちと同じで、犬も栄養不足になってしまうと体調不良や病気になってしまうので、上記の栄養素はしっかり摂らせてあげることが大切です。
ヒトの主食「炭水化物」は栄養価値ナシ?

炭水化物(=糖質)は即効性のエネルギー源として利用されます。体に入った糖質は筋肉や脳でエネルギー源として使われ、余ったものは脂肪や筋肉にたくわえられます。
また、炭水化物は脂肪やタンパク質よりも安く手に入り、満腹感も得ることができます。そのため、ドッグフードではおもにエネルギー源やかさ増しとして使われます。
- 砂糖
- お米
- でんぷん
- トウモロコシ
- イモ類 など
炭水化物は犬にとって不必要?

炭水化物は私たちヒトにとっては主食ですが、「犬にとってはまったく必要のない栄養素だ」という説もあります。
この説には賛否両論ありますが、犬が炭水化物をうまく消化できないことは事実です。犬は本来肉食動物ですし、アミラーゼなどの酵素も持ち合わせていません。
なので、筆者個人としては、ドッグフード選びの際に「炭水化物が足りているかどうか?」はあまり気にしないことにしています(その他の栄養素よりも優先順位は低め)
炭水化物が不足するとどうなるの?
炭水化物が不足すると、エネルギー不足になり疲れやすくなります。しかし、ドッグフードでは炭水化物の量もちゃんと調節されているので、ことさらにサプリメントなどで補う必要はありません。
むしろ、気をつけたいのは“炭水化物の摂りすぎ”です。過剰摂取は肥満につながり、糖尿病などを引き起こすので注意が必要です。

タンパク質は犬にとって一番大切な栄養素!

タンパク質は犬にとって最も必要な栄養素、いわば主食です。タンパク質は被毛や皮膚などをつくる元になるので、犬の体にとっては必要不可欠なんですね。
また、タンパク質は炭水化物や脂質から合成されないため、食事として外から摂取する必要があります。
タンパク質が不足するとどうなるの?
タンパク質が不足すると、以下のような健康障害が起こってしまいます。
- 発育の遅れ
- 体重減少
- 生体機能の低下 など
こうした健康障害は、タンパク質の少ない低品質なドッグフードを食べさせている場合によく起こります。
逆に、タンパク質を摂りすぎると体内に蓄積し、目やにが増えたり、腎臓に負担をかけることになります。

穀物メインのドッグフードではタンパク質不足になる!?

「穀物メインのドッグフードはダメだ」「ドッグフードはお肉メインのものを選ぶべきだ!」
あなたもこのようなことを聞いたことがありませんか?実はコレ、穀物の消化が悪くアレルギーになりやすいだけでなく、犬に必要なタンパク質を十分に摂ることができないからなんです!
穀物から十分なタンパク質を摂れない理由は、犬が必要とする“アミノ酸”に秘密があります。
タンパク質というのは体内でアミノ酸に分解されます。このアミノ酸のうち、体内で合成できず食事から摂らないといけないものを「必須アミノ酸」といいます。
アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン

実は、チキンやラムなどのお肉(動物性タンパク質)には、上記の必須アミノ酸がすべて含まれています。しかし、穀物のなかには上記の必須アミノ酸がすべて含まれていないものもあるんです。
これが「穀物メインのドッグフードでは十分なタンパク質が摂れない」と言われる理由の1つなんですね。
脂質はキレイな毛並みに欠かせない栄養素!

脂質(脂肪)はグラムあたりのカロリーが高く、体のなかの熱源としておもに使われます。
脂肪=体に悪そうといったイメージがありますが、犬の体温維持には欠かせない栄養で、毛並みや皮膚をキレイに保つ働きもあります。
もちろん、摂りすぎると肥満につなるがるのは犬も同じ。手作り食をあたえる場合は、ほかの栄養素とのバランスを考えたうえで、摂取量を決めることが大切です。
※脂質の最低摂取量についてはAAFCO(米国飼料検査官協会)がまとめています
脂質が不足するとどうなるの?

脂肪が不足すると、被毛のツヤが失われ、フケ症や皮膚疾患の原因になります。
脂肪は酸化しやすいため、保管状態の悪いドッグフードを与えた場合にも、こうした症状を引き起こす恐れがあります。

ビタミンは元気に欠かせない栄養素!

ビタミンはエネルギー源として利用されることはありませんが、犬の体調を整えるためには欠かせない栄養素です。
ビタミンが不足すると、食欲不振や貧血、脱毛などの症状が見られるようになります。幸いにもビタミンはサプリメントや果物から補えるので、こうした症状が見られた場合はビタミンをプラスしてあげると良いでしょう。
~水溶性ビタミン~
ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン、(ビタミンC)
~脂溶性ビタミン~
ビタミンA、D、E、(ビタミンK)
※ちなみにAAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準には、ビタミンC・Kの必要量は記載されていません。
なぜなら、ビタミンCは犬の体内でブドウ糖から合成され、ビタミンKは腸内細菌が十分量を合成されていると考えられているからです。
細かい話になりますが、ビタミンC・Kはことさらに外から補う必要はないと思っておいてOKです。
ミネラルは多すぎても少なすぎてもダメ!

ミネラルもビタミンと同じく、体の調子を整える役割があります。必要量はきわめて微量ですが、なくてはならない栄養素です。
カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、リンなど
犬に必要なミネラルは全部で11~12種類で、これらをバランスよく摂ることが大切です。ただし、過剰摂取による健康被害もあるので、手作り食では正確な計算が必要になります。
※ドッグフードではちゃんと計算されているので大丈夫です
カルシウムは人間の14倍も必要!?
ミネラルのなかでも犬にとって特に欠かせないのが“カルシウム”です。参考までに、ヒトと犬の1日のカルシウムの基準摂取量を見てみましょう。
- ヒト 0.6g
- イヌ 8.4g
犬は私たちヒトよりもはるかに体が小さいのに、ヒトの14倍もカルシウムを必要とするんですね。
昨今では関節に負担のかかりやすい室内小型犬などでケガが増えていることで、カルシウムの必要性が見直されています。
手作り食では不足しがちなので、しっかりと魚などから摂取できるよう気をつけたいポイントです。
水分不足は命取り。1日に必要な水分量は?

犬はパンディングという呼吸法(ハアハア言うアレです)で体温を調節しているため、汗をかいて体温調節する人間ほど水分は失われません。
しかし、水分不足になると脱水症状を起こすので、こまめな水分補給が必要です。
犬が1日に必要とする水分量は、体重1kgあたり130mlです。例えば、体重5kgなら650ml必要ということになります。
あなたのワンちゃんは水分が足りていますか?今一度チェックしてみてくださいね。
1日の摂取カロリーを「ml」に置き換えたものが1日に必要な水分量という目安もあります。
犬に必要な栄養素が足りているかをチェックする2つの方法

「うちの子は毎日ちゃんと栄養が摂れているかな?」「このままの食生活でいいのかな?」
こんなふうに不安に思うことってありますよね。こうした不安を解消するには“動物病院の血液検査”が最も確実で手っ取り早いです。
病院によってはカンタンな採血だけで「タンパク質が足りているかどうか」を教えてくれます。
筆者の愛犬も避妊手術前のカンタンな血液検査で、「タンパク質がほんの少し足りていない」と教えてもらいました。
それから高タンパクのドッグフードに変えて、現在も健康をキープできています。
また、より詳しい成分分析などを知りたい場合は、「健康に問題がないかどうか、血液検査をしてほしい」と伝えれば、ほとんどの病院でチェックしてもらえます。
もしも栄養状態が不安であれば、一度獣医さんにアドバイスを仰ぐのがオススメです。

症状から栄養不足を見抜く方法

栄養が不足すると、ワンちゃんにもその兆候が見られるようになります。例えば、タンパク質が足りないと体重が減少したり、脂肪が足りないと毛並みが悪くなったり…。
基本的には毎日の食事がカラダを作るので、ドッグフードを見直してあげることで改善に期待できます。実際、「良質な脂のドッグフードに変えたら、毛並みが良くなった!」という声もよく聞きます。
「どの栄養が足りていないのか分からない」という場合は、以下の表を参考に足りない栄養素を補ってあげてください!
~タンパク質不足~
体重減少、皮膚が荒れる、体臭がきつくなる、抜け毛が増える、下痢
~脂質不足~
皮膚の乾燥、被毛のツヤがなくなる、フケが増える
~ビタミン不足~
食欲不振、貧血、脱毛
~ミネラル不足~
筋肉のけいれん、食欲不振、食糞、土を食べる、性器をなめる
足りない栄養素を補う3つの方法!おすすめは?

足りない栄養素を補う方法には以下の3つがあります。
- ドッグフードを変える
- サプリメントで補う
- 野菜や肉などを直接与える
このなかでも一番オススメは“ドッグフードを変える”方法です。
ドッグフードなら栄養バランスが崩れる心配もなく、成分表の「粗タンパク質」などの数字を見れば、カンタンに栄養素を増やすことができます。
飼い主がテキトーに野菜などを与えることで、かえって栄養バランスがくずれるケースも多いので、ご自身で与える場合は注意してくださいね。
⇒栄養バツグン!100%無添加ドッグフードランキングはコチラから
犬に必要な1日のカロリーの目安

気になる方もおられると思うので、最後に1日に必要なカロリーの計算方法を紹介します。
ドッグフードの記載量を守っていれば基本的に問題はありませんが、気になる方は以下を参考にしてみてください。
(体重×30+70)×指数※=1日の摂取カロリー(kcal)
※指数は以下を参照
子犬の場合:生後4か月までは3.0、生後4か月~1年までは2.0
成犬の場合:避妊・去勢済みは1.6、避妊・去勢ナシは1.8
高齢犬の場合:避妊・去勢済みは1.2、避妊・去勢なしは1.4、ダイエット中の犬は1.0
適正体重5kgの成犬(♀避妊済み)の場合
⇒(5kg×30+70)×1.6=352kcal
※詳細な必要カロリーを知るのに下記サイトのツールが非常に便利でした。⇒獣医師広報版「犬のカロリー計算」
まとめ
今回は犬に必要な栄養素や栄養不足の見抜き方を紹介しました。
基本的に高品質で栄養価の高いドッグフードを与えていれば、栄養面は問題なく、健康に過ごせるはずです。
「今与えているドッグフードを続けていいのか分からない」という場合は、以下の記事を参考に“良質なドッグフードの基準を満たしているか”をチェックしてみてください。
⇒ドッグフード選びの基準と成分表の理想的な数値|みんなのドッグフードの選び方