
私たちヒトの食品では「国産こそ安全安心だ!」という風潮がありますが、ドッグフードではむしろ真逆。
「ドッグフードも国産のほうが良いでしょ」と安易に飛びつくと、愛犬が痛い目にあいます。

- 原産国でドッグフードの良し悪しが分かるの?
- どの原産国のドッグフードが安全なの?
こんな疑問を持っている方の参考になれば幸いです。
先に結論から言うと、原産国はドッグフードを選ぶうえで重要なポイントになります。ただ、厄介なことに「原材料の産地」と「原産国」は必ずしも一致しないのです。
この記事の目次
ドッグフードの原産国の定義「中国生まれ日本育ちは国産」

ドッグフードのパッケージに原産国:日本と書かれていると、「これは日本の食材を使った安全なドッグフードだ」と思うのが普通ですよね。
でも、必ずしも日本の食材が使われているとは限らないんです。ここがドッグフードの恐ろしいところ。
ドッグフードの原産国は“最終加工をした国”が表記されます。
中国産の原材料を使っていても、最終的に日本で加工されれば国産ドッグフードです。「中国生まれ日本育ち」は国産です。

勉強熱心なあなたには、ぜひ今回を機に“国産=安全”という認識を取り払っていただきたいんです(ワンちゃんのためにも!)
例えば、ドラッグストアやホームセンターなどでは国産ドッグフードがズラりと置いてあります。いずれもお手頃価格です。
でも、よく考えてみてください。
- 原材料はすべて国産の安全な食材です
- 高い人件費を払って安全な日本の工場で製造しています
そんなドッグフードが、1kgあたり500円といったお手頃価格で売られるでしょうか。それでメーカーは利益が出るのでしょうか。
そんなことあり得ませんよね。正しくはこうです。
- 東南アジアの食材や日本で出た廃棄寸前の食材を使っています
- 人件費の安い東南アジアの工場でドッグフードを製造しました
- 日本の工場に運んで、ひと手間加えました
これが安価な国産ドッグフードの現実です。

そして、国産=安全という認識は危険だということを覚えておきましょう!
どの原産国のドッグフードを選ぶべき?

「最終加工された国が原産国って…じゃあ原産国なんて見ても意味ないじゃん!」
そう思われるかもしれませんが、原産国をチェックするのも安全なドッグフード選びには役に立ちます。
というのも、ペットフードの法整備がしっかりしている国では、最終加工する工場でも厳しいチェックが行われているからです。仮に粗悪な原材料を使っていても、出荷前の最終段階ではじかれます。
それでは一体どの国のドッグフードなら安全なのか。答えはイギリス、アメリカ、オランダ、カナダといった欧米諸国です。
そのなかでもイギリスは大学・企業問わず、ペットの栄養学の研究が盛んです。ペット=家族という認識が一番強いのはアメリカでしょうか。
いずれにせよ、こうした海外産ドッグフードのほうが安全性が高い傾向にあります。
国産は疑え!日本のドッグフードは“雑貨類”

前述の通り、国産=安全という認識は捨ててください。
日本ではペットフードに関する法整備はまだまだ整っていません。驚いたことにドッグフードは食品ではなく雑貨類とされています。
私たちヒトの食品に対しては、発ガン性物質や非食用肉などの使用が規制されていますが、ドッグフードへの使用は禁止されていません。

【注意】中国産原材料だけは避けて!

中国産の原材料を使用している可能性のあるドッグフードは避けましょう。
今から12年前の2007年、アメリカでは中国産の小麦グルテンを使ったペットフードにメラミンが混入していて、ペットが大量に死んでしまうというショッキングなニュースが流れました。
結局、大規模なリコールが行われ、ペットフードは回収されましたが…こうして大量のペットの命を奪うような成分を含んでいるのが中国産原材料です。
こんな大規模な事件があったにも関わらず、いまだに中国産の穀物などには保存が効くよう殺虫剤がまかれている始末です…。

じゃあ「どうやって中国産原材料を見抜くのか」という話ですが、残念ながら私たちには見抜くことができません。
だって、メラミンが混入したドッグフードを作ったのはカナダのメニュー・フーズ社だったんですよ。当然、そのフードには「原産国:カナダ」と記載されていたはずです。
それでも中国産の原材料が使われていて、多くの犬・猫の命が奪われてしまったわけです。どうしようもありませんよね…。
だから、私たちが唯一できるのは「中国産の原材料は使っていない」と書かれたドッグフードを選ぶことです。
最近ではわざわざ表記してまで中国産不使用をアピールするメーカーもあるので、こうしたドッグフードを選ぶのがオススメです。

ドッグフードの並行輸入品と正規品の違い

もしご自身で海外産ドッグフードを選ぶ場合は“並行輸入品”にだけ気を付けてください。
正規品は日本の代理店を通して輸出されるので、日本の気候や湿度などを考慮して専用の貨物機や専用コンテナで運ばれてきます。
ところが、原産国の国内だけで流通するはずだったものが、ネット通販などで安く販売されていることがあります(これを並行輸入品といいます)

並行輸入品は輸送コストを抑えるため、ドッグフード以外の商品と一緒にフェリーで運ばれてきます。途中に厚い地域や寒い地域を通ったりもしますし、輸送日数もかかります。
そうなると、当然フードの品質も劣化しますよね。たとえ正規品と原材料は同じでも、品質面で愛犬に悪影響を与えるケースがあるので要注意です。
ドッグフードの並行輸入品の見分け方
- パッケージがすべて日本語以外(英語など)
- 賞味期限が日本の表記方法と違う
- 出品者が個人や信頼できない会社
並行輸入品は原産国内でのみ流通する前提だったものなので、パッケージに日本語がありません。賞味期限の記載方法も違います。
また、並行輸入品はYahoo!ショッピングや楽天市場などでよく見られるのですが、出品者がよく分からない個人や企業だったりします。
正規品のように輸送コストをかけていないため、並行輸入品のほうが安く手に入りますが、愛犬のためにも正規代理店から購入するようにしましょう。
【結論】安全なドッグフードの選び方

ここまでの内容をおさらいすると、原材料の産地と原産国は一致しないけれど、海外産のドッグフードのほうが安全である可能性が高い。
ただし、海外産といえども本当の原材料の産地は分からないし、並行輸入品などのリスクもある…。
というわけで、安全なドッグフードを愛犬に食べさせてあげるために私たちができること!
- 原材料の産地までしっかり記載しているものを選ぶ
- 中国産不使用のものを選ぶ
- 正規代理店から購入する
これら3つの条件を満たすドッグフードとなると、その数はかなり絞られます。逆に言うと、一瞬で安全なドッグフードにたどり着けます。
ただ、そこからまた原材料や成分を見て「動物性たんぱく質は足りているか」「脂質やカロリーは今の愛犬に合っているか」といったチェックをしないといけませんが。
「結局どんなドッグフードを選べばいいか分からない」という方に向けて、安全で栄養価の高いドッグフードをランキング化した記事もあるので、ぜひそちらも参考にしてみてください!
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【余談】ロイヤルカナンが韓国工場に移転した件について

2014年、ロイヤルカナンが「工場をフランスから韓国に移す」と発表したことで話題になりました。
韓国では昔から“食犬文化”があり、一部地域ではその文化が今も残っているという噂もあるため、「ロイヤルカナンはもう辞めた」「他のドッグフードを探さないと」という声が多く上がりました。
でも、このロイヤルカナンの件に関して言えば、あくまで工場が移っただけ。原材料の産地がフランスから韓国に変わったわけではありませんでした。むしろ、日本への輸出は距離的に近くなりました。
ここまで読んでいただいたあなたなら分かると思いますが、「原産国が韓国に変わったから、ロイヤルカナンはもう辞める!」という発言は、「私はドッグフードの原産国について理解していません」と言っているようなものでした。
まぁ、ロイヤルカナン自体そこまで良いドッグフードではないので、皆さん辞めて正解だと思います。おしまい。